僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ
……俺らが生きる世界に、本当の光がないというなら、それを作ってやろう。
嘘ばかりの世界に、何がなんでも、どんなことをしても。暗澹とする夜に、光を差し込んでやろう。
居場所がないなら、作ればいい。
それが、闇夜の威光。
真っ暗な夜に現れる、人を畏れさせるほど、従わせるほど、強力な力の象徴。
誰にも何も言わせない。誰にも何にも、屈服なんてしない。それがどんなに愚かでも。滑稽だと言われても。
俺らは、もがくことしかできない。そうすることでしか、生きられない。
俺はそうやって生きてきた。そんな世界にチカを連れ込んだのは、紛れもなく俺だ。
後戻りなんてできない。する気もない。
俺は、闇夜の威光の意思を継いだ。
威光という存在に、救われた。それだけが、揺るぎない事実。
「――チカ。俺はお前を、捨てたりしない」
腕の中で震えるチカを抱き締めながら、そう呟いた。
チカと、威光を守る力さえあれば。俺は他に何もいらない。何も望まない。
自分の命すら、いらないんだよ。
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