年上の先生
「5年前に亡くなった
家内だよ。」

「病気で?」

「ああ。
乳がんであった。
発見が遅く、
手遅れの状態だった。」

先生は涙目で、
今でも心の何処かで、
奥さんが生きている、
そんな感じを受けた。

「寂しかった?」

「ああ。
毎晩泣いたよ。

俺の事をずっと
愛し続けてくれた。

生徒の事でも一緒に
悩んでくれ、
アドバイスもくれた。」

「優しい人だったんですね。
私の両親は、いつの間にか、
喧嘩ばかりして、
毎晩寂しく泣いたよ。」

私は初めて素直に、
先生に話せる事が出来た。

それは私以上に、
先生は辛い思いをして、
暮らしてきた。

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