年上の先生
「山本?
俺は先生として、
お前を助けてやりたい。

だから、
もっと素直になって、
俺に接して欲しいんだ。」

私は頷く事が、
出来なかった。

「俺じゃ信用できない?」

「そうじゃないけど。
裏切られる事が、
もう怖いんだ。」

私は親に捨てられた、
その事が私の心の奥に、
刻み込まれた。

深い傷として。
もう一つある。

いつの間にか、
私は先生に恋をしていた。

けど、
亡くなった奥さんを
今でも愛している先生を、
私は振り向かす勇気もない。

私は返事も出来ず、
ただ泣いていると、
先生は起き上がって、
私の涙を拭いてくれた。

温かく大きな手が、
私の涙を拭いてくれた。
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