年上の先生

痛みで目が覚めると、
先生が私を見つめていた。

「大丈夫か？」

「痛みが激しく・・・」

先生は直ぐに看護師さんに
事情を伝えると、
痛み止めを打って貰った。

「先生？手術は？」

「成功したよ。」

私は先生の言葉に、
ホッとしたけど自分の胸を
見る勇気はなかった。

「静？子供なんだけど・。」

「うん。」

「抗がん剤治療を行なうので、
諦めるしかないんだ。」

私は現実を受け入れる
事しかなかった。

「先生ゴメンね。・・」

私は涙を浮かべて、
先生に謝った。

すると先生は優しく
そして力強く抱きしめて、
私は先生の胸に顔を埋めた。

「静が生きてくれる事が、
俺にとっては幸せなんだ。

俺の傍から離れる事は、
しないでくれよ。」

先生の言葉に私の心は、
軽くなった。

「捨てられると思った。」

「バカ！！
籍を入れた所だぞ。

抗がん剤治療が終わって、
元気になったら、
結婚式を挙げよう。」

「うん。」

私はその言葉を胸に、
これから始まる治療に
望む事になった。