年上の先生
入院生活が長く、
凄く暇であった。

「静?」

「香。どうした?」

「元気にしている?」

「うん。」

香が病室に遊びに
きてくれた。

私と先生が一緒に住むように
なった時に、
先生が私に内緒で教えて、
サプライズで会わせてくれた。

だから今回の治療も、
香は知っていた。

「どう傷の具合は?」

「うん。
傷は大丈夫だけど、
抗がん剤がね・・・。」

私は被っていた帽子を脱いで、
香に見せたのです。

「つるつるでしょう?」

「うん。
けど挙式をする時には、
また毛が生えてくるよ。」

「うん。」

「香。
傷を先生にまだ見せて
いないんだよね。」

「やっぱり。」

香はそうつぶやいた。
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