空をなくしたその先に
女性に、
「私きれい?」
と聞かれたら。

「とても」とか。
「すごく」とか。
「そこの花よりも」とか。

何でもいいからつけくわえておけとは、
いつも女性に取り囲まれている従兄の教えだ。

あいにくとこの教えは、
ダナには通じなかったようで。

つまらなそうに


「ふぅん」


とうなった後、
這ってきた体勢からぺたりと座り込んだだけだった。


「きれいなんだ、あたし」


他人のことを話しているような口調だった。

普通なら言わないようなことを無理矢理言わせておいて何だ、とさすがのディオもむっとする。

ダナはさらりととんでもないことを口にした。


「これ整形なのよね。

包帯とれて三ヶ月たつけど、
いまだに自分の顔って気がしなくて」


思わずディオはダナの顔を見つめる。

ディオの視線に気がつくと、ダナは苦笑して話し始めた。


「先に言っておくけど。
そんなに面白い話でもないわよ?」

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