空をなくしたその先に
7.追憶の空戦
数十もの軍用艦が、悠然と空を進む。

そのうちひときわ大きな艦を
ビクトールは旗艦と定めていた。

リディアスベイル。

先日建造したばかりの、新型艦だ。

ビクトールたちの率いるアーティカは、何十年も専属契約を結んでいるとはいえ、

傭兵であるということにはかわりがない。

リディアスベイルも、今までに得た報酬を投じて作られたものだ。


「やはり新型の艦は違いますね。肌に感じる風まで別物みたい」


甲板に立って空を見上げているビクトールに、サラが笑いかける。


「そうだな。これが戦じゃなきゃ最高なんだが」

「団長のお言葉とも思えませんね」


束ねた紙の束を一枚めくって、サラはビクトールの前につきだした。


「これ、今回の作戦計画です。目、通されてますよね?」

「あったりまえだ」
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