空をなくしたその先に
あえて作戦計画のことに触れたのは、

自分の目が遠くにいっているのを察知したからではないかとビクトールは思った。


「あれから十年……か?」


つぶやいて、もう一度サラの渡した作戦計画に目を落とした。

今朝最終的に決定された計画。
もう何度も目を通して、中身はすでに頭にたたき込んである。

それでも念のため、もう一度中身を確認してサラに戻した。


「あいつらはどうしている?」


あいつら、が誰を指しているのかサラにはすぐわかる。

間髪入れずに答えは返ってきた。


「機体の最終チェックにいそしんでいます」

「そうか」


現在リデイアスベイルには、
フォースダイト搭載機は一機しか積んでいない。

普段ビクトールとサラが使っている機体は、
他のパイロットに回してある。

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