空をなくしたその先に
今は十六と二十一。

多少年の差があるように思えるが、
あと数年もすればつりあいがとれるはずだ。

それに。

サラが言ったとおり、この二人の仲は密かにビクトールの望んでいたことでもある。

十年前に散った親友たちの娘。
以来手元に置いて慈しんできたダナならば、ヘクターの相手としてこれ以上望むべくもない。

常人ならば反動が大きすぎて、機体の制御を失いかねない反動の銃火機を搭載しても、

機体の操縦を誤ることのなかったオリガ。

どれほど高速で移動中であろうが、

敵の進路を神がかった精度で予測して撃墜することのできたハーリィ。

それぞれ、閃光、雷激と呼ばれた彼らの乗った戦闘機はアーティカ最強を誇った。

彼らが乗った戦闘機でさえ、運命の手から逃れることはできなかった。


「そうか……」


ようやく気がついて、ビクトールは嘆息した。
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