空をなくしたその先に
今日は、彼らが逝ってしまってからちょうど十年目。

朝から胸にのしかかっていた重みはこれだったのか。


「今日でちょうど十年だ」

「お忘れでした?」


サラに言われて、ビクトールは苦笑する。


「あの時も戦そのものは大勝利だったんだ。
失ったものは大きすぎたがな」

「今回も任務としてはそれほど難しいものではないでしょう?
空賊退治ですもの」

「そいつが怖いんだ」


ビクトールは、前方の空をにらみつけるようにして腕を組んだ。


傭兵団が兼業で空賊業を営んでいる場合と。

最初から空賊を専門にする場合と。

この世界の空には二種類の空賊がいる。

どちらが手強いかと言えば、傭兵を兼業している方だ。

対軍用艦相手の戦闘訓練を、しっかりとつんでいる。

武器も、破壊力の大きなものを装備していることが多い。

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