空をなくしたその先に
「団長がそうおっしゃるのなら、引き返しましょう。
国王陛下には団長が腹痛を起こしたので、と報告しておきますから」
「腹痛かよ」
ビクトールは苦笑いする。
言い訳は何でもいいのだ。
この出撃をやめることさえできれば。
「んじゃ、他の部隊にも帰ると連絡を入れてくれ。
しきり直しだ」
「わかりました」
サラは、他の部隊に通信を送るために船内に入った。
食堂の中をのぞきこむと、ヘクターとダナが向かい合ってコーヒーを飲んでいる。
見つめあう眼差しに迷いはない。
カップを持っていない方の手は、互いの指先に絡めている。
在りし日の彼女の両親を思いだして、サラは微笑んだ。
彼女の両親も、よく出撃前にはこうしてコーヒーを飲んでいたものだ。
国王陛下には団長が腹痛を起こしたので、と報告しておきますから」
「腹痛かよ」
ビクトールは苦笑いする。
言い訳は何でもいいのだ。
この出撃をやめることさえできれば。
「んじゃ、他の部隊にも帰ると連絡を入れてくれ。
しきり直しだ」
「わかりました」
サラは、他の部隊に通信を送るために船内に入った。
食堂の中をのぞきこむと、ヘクターとダナが向かい合ってコーヒーを飲んでいる。
見つめあう眼差しに迷いはない。
カップを持っていない方の手は、互いの指先に絡めている。
在りし日の彼女の両親を思いだして、サラは微笑んだ。
彼女の両親も、よく出撃前にはこうしてコーヒーを飲んでいたものだ。