空をなくしたその先に
基本的に二人乗りの戦闘機は、一人乗りの戦闘機よりもスピードという点で劣る。

撃墜されれば二人を失うことになるため、最近は使用されなくなってきている。

例外は、フォースダイトとパイロットの腕、射撃手の腕と三本の柱がそろった時だけだ。

十年前はハーリィとオリガ。
現在はダナとヘクター。

アーティカにも一機しか存在しない。

ただ向かい合っているだけなのに、
二人の姿は、サラの目にはまぶしく見えた。

わずかに覚える胸の痛みを押し殺して、
サラは通信室へと向かう。

他の部隊へとビクトールの意志を伝えようとした時だった。


「敵機発見!」


通信が入る。
サラは眉をひそめた。

こちらの持っている情報では、敵の空賊団はまだまだ先にいるはずだ。

こちらの情報が、もれていたのか?

他の部隊との交信をあきらめて、サラは急ぎ足に艦橋へと向かった。
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