空をなくしたその先に
しかけてくる攻撃は、的確に目標をつらぬく。

また、アーティカの軍用艦が炎をあげた。


「やるじゃねえか。

脱出してきたやつらの救助には、どの艦が回せる?」


ビクトールの口元に苦い笑みが浮かぶ。


「ハイネリアを救助に回します。

まだ、負けた訳じゃありませんよ、団長」


手早くサラが救助の手はずを整えたのを確認して、ビクトールは顔をしかめた。


「バカ野郎、誰が負けた時の話をしている。

オーウェンの部隊に前に出ろと言ってやれ。

ネヴィルのところは少し下がらせろ。

戦線を維持できなくなりつつあるぞ」


バカ野郎呼ばわりされたことには全く頓着せず、
サラはビクトールの命令に従う。

彼女の見立てでも、まだ焦らなければならない状況ではない。

ビクトールならば、十分に勝機を見いだすことができるはずだ。

戦場の魔物にさえ捕まらなければ。
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