空をなくしたその先に
正体のわからないまま開戦した、敵の姿が見えてきた。

アーティカの軍用艦にも劣らないほどの、堂々とした軍用艦が並んでいる。

その中央に、飛行島がいた。

飛行島まるまる一つを、空飛ぶ要塞として、
マグフィレット領内へ攻め込んできたものらしい。

軍用艦に施された装飾を見れば、どこの艦か一目でわかる。


「ビルフレイン……」


サラがつぶやいた。

アーティカ同様、傭兵団としては最大級を誇る。

アーティカと違って、専属契約はしておらず、戦争になるたびに契約先をかえる。

ともに船を並べたこともあるだけに、
敵がどれほど強大かすぐに悟ることができた。


「空賊退治じゃなかったのかよ」


ビクトールがうめく。


「守りをかためろ。機を見て撤退するぞ」


ただの空賊ならともかく、
傭兵団を相手にするとなっては、今の装備ではこころもとない。

< 120 / 564 >

この作品をシェア

pagetop