空をなくしたその先に
すぐに他の部隊へ伝令がとばされる。


「戦闘機部隊はどうした?」

「そろそろ、弾薬が切れる頃です。

補給に戻れれば、そのまま撤退できるのですが」


時計をにらみつけながら、サラは素早く計算した。

ビクトールの命令を受けた部隊は、徐々に撤退の構えに転じ始めている。

敵もそれを見て取ったのか、攻撃が激しさをました。

相手の力量は、双方が熟知しているところだ。

このまま撤退されては、との思いもあるのだろう。


「軍部にも連絡を入れておけ。どこに防御線を引くかが勝負になるだろう」

「クーフ経由で、連絡済みです」

「さすがだな」


額の汗をぬぐってビクトールは笑った。


「悪いがしんがりはこの船だ。頼むぞ」

「わかっています。新型艦ですもの。

そうそう落ちたりはしません」

「簡単に落ちられちゃ困るんだよ。

俺は百まで生きて、曾孫に看取られて死ぬと決めてるんだからな」
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