空をなくしたその先に
「しかたないな、やつらが戻らなくても撤退だ。

機を逃すわけにはいかないからな」


このあたりには、小島が散らばっている。

戦闘艦に戻れなければ、そこに不時着して迎えを待つはずだ。

敵の捕虜になるか否かは時の運。


「……わかりました」


長の決断は重い。

全体のことを考えれば彼らを待ち続けるわけにはいかない。


「ご命令を……いつでも」


サラは前方の敵艦隊を見すえた。

中央にある飛行島。

あれを落とすことができれば、形勢は一気に逆転できるだろうに。

おそらく命令を出しているのは、あの島の中央にいるであろうビルフレイン上層部だ。

あの艦隊を突破することさえできれば。


「よし、いくか。俺の直属部隊はしんがり。

ネヴィルの部隊を先頭に撤退だ」


味方の陣形が整ったのを見て、ビクトールは命令した。

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