空をなくしたその先に
なんとか起きあがることができたのは、自分一人のようだ。

舵を取っていた男の上半身が吹き飛んでるのに気づき、
思わず目をそらす。

何度も戦場に出てはいるが、
戦闘機で敵を撃墜するか、こうして艦から指揮をとるか、だ。

生々しい死体を見る機会などほとんどない。

室内のあちこちから、うめき声が聞こえてくる。

煙に覆われ、見通しの悪い部屋の中を目をこらして見回す。


「だ……団長!」


さほど離れていないところにビクトールが倒れていた。

その胸を横切るように、サラの腕の長さほどもある機体の破片が突き刺さっていた。

はじかれるように駆け寄ると、ビクトールは薄く目をあけた。


「状況……は?」

「貴方のですか、この艦のですか?」


まぜっ返しながら、サラは素早くビクトールを診察した。
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