空をなくしたその先に
見たとおりの重傷だ。

命の方もこのままではどうなることか。

通話装置をつかんで、助けを呼ぶ。


「貴方でしたら、命の保証はできかねる状態です。

この船の方もそう長くはもたないでしょう。

退艦を進言しますが」

「な……まだ、あいつらが戻ってきていないだろうが!」


胸に刺さった金属片を投げ捨てて、ビクトールは起きあがった。

とたん、視界がぐるりと回転する。


「無茶です……本当に貴方って人は」


よろめいたビクトールを支えて、サラは嘆息した。

やはり息子たちが戻らないことを気にしていたようだ。

妻も両親もだいぶ前に亡くなっているから、
ヘクターが最後の肉親ということになる。

こんな商売をしていても。
団長という地位があっても。

いやだからこそ、肉親に対する情は人一倍強いのかもしれない。
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