空をなくしたその先に
「あとはおまかせください、団長。

できる限りのことはしますから」


やってきた応援にビクトールを託し、サラは通話装置越しに宣告した。


「総員、退艦。
ただし、救命艇は一つだけ残しておいて」


生きてさえいれば、何度だって復讐戦は可能だ。

日頃の訓練の成果をいかんなく発揮して、
サラ以外全員が脱出するのに五分とかからなかった。

その間も艦橋に残ったサラは、相手の砲弾を交わし、

逆に撃墜し、

と巨大な軍用艦を一人で操るという大仕事に追われていた。

この状況から逆転するには、方法は一つしかない。

味方の部隊が撤退していくのとは逆に、
リディアスベイルは前進する。


「全速、前進」


他に誰もいないのに、思わず口からこぼれる言葉。

さすが新型艦だけあって、敵の攻撃にもひたすら耐え続けた。
それも長くは続かないだろうが。
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