空をなくしたその先に
王族が結婚すれば、新たに島を作り、宮殿を建てる。

いくつもの島が、空に漂うようになった。

支配される側は、地面からそれを見上げるだけ。

やがていきすぎた技術力は、
世界の崩壊をもたらすことになる。

王座をめぐって起こった争いは、人類の大半が死亡する大戦争へと拡大した。

地上に残された者たちは、
島へとわたる翼を持たなかった。

空で生きるための物資は地上から運び込まれていたが、
それを運ぶ手段は失われた。

特権階級の人間だけでは、生き延びる手段を見つけだすことができなかったのだろう。

島へ取り残された人間たちは、長い年月の間に少しずつ数を減らしていき、絶滅した。

大戦から長い年月が過ぎて、
ようやく人類は再び空を飛べるようになった。

鳥のように、とはいかなかったが。

一度手段を見つけてしまえば、どんどん技術力は進歩していく。

より高く、より遠く。
< 14 / 564 >

この作品をシェア

pagetop