空をなくしたその先に
結局、ビクトールがダナの見舞いに訪れたのは、それから半年後のことだった。

まだ彼女の回復は完全ではない。

顔の骨も粉々に砕けてしまっていたため、何度も整形手術を繰り返している。


「どうせなら最高の美女にしてもらいなさい、
とダナには言ったのですけれど」


サラからはそう聞いていた。

だから、予想はしていたはずだった。

顔一面包帯で覆ったダナの姿。
体の大半もまだ包帯に覆われている。

体の回復もまだで、一日の大半をベッドの上で過ごしているのだという。

訪問を聞いていたのか、ダナはベッドの上に上体を起こしてビクトールを迎えた。


「悪かったな、来るのが遅くなって」


そう言うビクトールに、首を横にふって見せる。

包帯に覆われているから、表情までは知ることができなかった。


「入院生活はまだ続きそうだな。何かほしいものとかあるか?」

「いいえ」


短く返された答え。

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