空をなくしたその先に
9.ディオの決意
「結局、身体が元に戻るまで一年半。
顔の方はそれからさらに四ヶ月かかったわ」
ディオの前に。
膝を抱えて座り込んだダナの話はまだ終わらない。
「毎朝鏡を見る度に、知らない人を見るような気がするの。
こんなの、あたしの顔じゃないって……。
いつになったら慣れるのかもわからない」
ディオは言葉を失っていた。
自分と同じ年頃なのに、はるかに壮絶な世界を生きてきたダナ。
そんな話をしろとせまった自分は、なんと無責任だったのだろう。
「親を亡くして、ヘクターを亡くして、自分の顔まで失って。
全てを亡くしても。
それでも。
まだ、飛びたいと思ってしまう。
どうしようもない愚か者って、あたしのことね、きっと」
くしゃりと顔がゆがんで、涙が落ちた。
ほんの一粒だけ。
それをディオは見逃さなかった。
顔の方はそれからさらに四ヶ月かかったわ」
ディオの前に。
膝を抱えて座り込んだダナの話はまだ終わらない。
「毎朝鏡を見る度に、知らない人を見るような気がするの。
こんなの、あたしの顔じゃないって……。
いつになったら慣れるのかもわからない」
ディオは言葉を失っていた。
自分と同じ年頃なのに、はるかに壮絶な世界を生きてきたダナ。
そんな話をしろとせまった自分は、なんと無責任だったのだろう。
「親を亡くして、ヘクターを亡くして、自分の顔まで失って。
全てを亡くしても。
それでも。
まだ、飛びたいと思ってしまう。
どうしようもない愚か者って、あたしのことね、きっと」
くしゃりと顔がゆがんで、涙が落ちた。
ほんの一粒だけ。
それをディオは見逃さなかった。