空をなくしたその先に
本当にしかたないといった調子でため息をつくと、ディオの腕の中で丸くなる。


「ねえ、ダナ」

「今度は何?」


ディオの胸に顔をふせたままダナは返す。


「僕は大切な人を失ったことなんてないし、

君にこんなことを言っていい立場じゃないのかもしれないけれど。

君は飛ぶことに、罪悪感を覚える必要はないんじゃないかな」


最初に彼女と飛んだ時、彼女は本当に生き生きとしていた。

敵の攻撃をくぐり抜けて、フォルーシャ号にたどりついた時見せた笑み。

とても充実しているようにディオには見えた。

静かになったダナは、ディオに話を聞いているのかいないのかわからない。

それでもディオは続けた。


「父と母はかなりの年齢差があるっていうのもあるんだけど。
僕は遅くに生まれた子で、父はもうすぐ七十なんだ。

ずっと病と闘っていて……正直それほど長くないって言われている」
< 147 / 564 >

この作品をシェア

pagetop