空をなくしたその先に
白いシャツに茶のパンツにブーツ。

一つ一つを見れば、目立たないといえる。


「地味じゃない」

「着ている物は地味かもしれないけど、ダナが目立っているの!」


どん、とディオは足を踏み鳴らす。


「どこが?」

「赤い髪の女の子もいっぱいいるだろうし、緑の目をした子もいっぱいいるだろうけど。

町の女の子はそんな服を着ないし、髪だってもっと伸ばしている。

特徴あげて探されたら、すぐに見つかってしまうよ」


ディオの言葉を、唇をとがらせて聞いていたダナは逆に問い返した。


「じゃあディオは?目立たないの?」


ディオは肩をすくめる。


「僕は容姿に恵まれているわけじゃないし。

このあたりは金持ちも多いからね。

着ている物で目立つこともない」


それに地上のことは、自分の方が詳しいのだとディオは付け足した。

不承不承、ダナは森の入り口近くに隠れて待つことに合意した。

< 157 / 564 >

この作品をシェア

pagetop