空をなくしたその先に
ディオはダナを残して、
リュックサックを背負う。


「ディオ」


歩き出しかけたディオを、
ダナは呼び止めた。


「買ってきてくれるのなら、
首まで隠れる服にして。

そうじゃなかったら、着ないからね?」

「わかった。探してみる」


そしてディオは、町の方へと向かって歩き始めた。

別荘を訪れている金持ちの息子が、朝の散歩から戻るところに見えることを願いながら。

難点をあげるならば、今背負っている物と着ている物が合っていないということか。

南東の方では朝早くから市が開かれている。

それを何度かこの島を訪れたことのあるディオは知っていた。

市では食べる物から衣服、
生活日用品と、
幅広い品が取引されている。

中古の品もあるし、盗品が混ざっているという噂を聞いたこともある。

ここの住民ではないディオに真偽のほどはわからないが。

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