空をなくしたその先に
朝早くから観光客や地元の人間でごった返している市場の中を、

ディオはある一角目指して早足に通り抜けていく。

狭い通路の両側にずらりと並んだ露店は、

どの店が何を扱っているのかすぐには判断できないほど、

ありとあらゆる品が並べられていた。


「おじさん。

女の子の服で、僕が着られそうなのってないかなあ」


のんびりした口調で、ディオは市場の隅で古着を扱っている露店に声をかけた。

ダナのサイズはわからないが、
ほぼ同じ背丈であることを考えると、ディオが着られればなんとかなりそうだ。

いくらなんでも、ディオの方が細いということはないだろう。

「なんだ、学生さんか。あれ……あんた」


店主の男はディオを見て首をかしげた。


「どっかで見たことあるような?

前にも何か買ってくれたかな?」


ディオはぎくりとした。

< 159 / 564 >

この作品をシェア

pagetop