空をなくしたその先に
団長の名はビクトール。

過去の戦争で手柄をたてたのをきっかけに、
マグフィレット王国の貴族に叙されている。

契約する金額によって、平気で裏切るのが傭兵の常だが、
ここ数十年は専属契約だ。

国王が十分以上の賃金を支払っているというのが一番の理由だろう。

そこに忠誠心はない。

ディオが留学していたセンティア王国と、マグフィレット王国は同盟関係にある。

現在のマグフィレット王国の王妃が、
センティア出身ということも両国の関係が良好である一つの要因だ。

アーティカの船団が、
センティア領内への進入を許されたのもそのあたりに理由があるのだろう。

そのアーティカの一員ということは、
彼女も戦闘員ということになる。

あっという間に届けられた偽の旅券といい、
タイミング良くあらわれた救助といい、
事態は予期されていたということなのだろうか。


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