空をなくしたその先に
「君も傭兵ってことなんだね」
「そう。専門は空。白兵線には不向きだわね、どう考えても」

けらけらと笑う。
緊張感がないことこのうえない。

ついで、ダナは右手で後方をしめした。


「二機、追ってきてる。
ちょっと荒っぽくいくから、
しっかり捕まってて」


捕まっててと言われても、
せまい機内につかまるような場所は見あたらない。

ベルトを両手でぎゅっと握りしめる。


「わあああああっ」


機体が急上昇して、
ディオはわめいた。

天と地が逆転する。


「だまってなさいって!」


ダナの声もディオの耳には届かない。

目の前で、死に神の鎌がちらつくのが見えたような気がした。

「死ぬ、死ぬ、死ぬうぅぅぅぅ!!!!」

「黙れって言ってんでしょうが!」


右に左にめまぐるしく機体が旋回する。

急上昇、急降下、右へ、左へ。
体はベルトで固定しているとはいえ、首から上までは固定しようがない。
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