空をなくしたその先に
最終的にはグレンについていくことに同意した。


「ここが俺の家だ」


グレンが二人を案内したのは、教会から少し離れた、

同じようにごちゃごちゃした通りに建つ集合住宅だった。

上を見上げれば、洗濯物が風にひらひらとしている。

窓にはいたるところに布団が並べられ、風にあてられていた。

裕福な人間の住む地域でないことは、ディオの目にもすぐにわかった。


「ミーナ、今帰ったぞ」


グレンがドアを開けるのと同時に、


「今までどこ行ってたのよ、この大馬鹿者が!」


すさまじい勢いで、木製のボウルが飛んできた。

慣れた様子でグレンがそれをよけ、ディオの顔にぶつかりかけたところを、スーツケースが遮った。

ただし、そのスーツケースが勢い余ってグレンの後頭部を直撃するというおまけもついたが。


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