空をなくしたその先に
「本当に迷惑かけたわね。
怪我とかしなかった?」


二人にかけるミーナの声は、グレンを相手にしていた時よりはるかに優しい。

ダナは肩をすくめ、ディオは首を横にふった。

女はおとなしいのが一番だと、グレンが言っていた理由がなんとなくわかったような気がする。

本当にダナと結婚するわけではないからどうでもいいのだが。


「本当に馬鹿でしょ、あの二人。

ちょっとうまい話があるとすぐに乗って、結局痛い目を見るのよねえ」


質素ながら、温かくて十分な量の食事を二人にふるまいながらミーナはため息をついた。


「別れようと思ったことはないの?」

「ちょっと!」


単刀直入すぎるダナの質問を、ディオは慌てて止めようとした。


「ないわけじゃないけれど」


苦笑混じりに、ミーナは返す。


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