空をなくしたその先に
がんがんと座席に頭をぶつけ、右に左に揺られ、生きた心地がしない。


「まずは一機……!」


ダナがつぶやいた。

続いた轟音。

目をあける気力もないが、
追ってきた機体が撃墜されたということなのだろう。


「もういっちょ!」


もう一度響く爆発音。


「ダナ、ほどほどにしとけって言っただろ。
任務を忘れるな」

「……すみません……」


通話装置から聞こえてきた男の声に、
今までの勢いはどこへやらしゅんとしてダナは機体を水平に戻した。


「生きてる?」

「な……なんとか」

「失神しなかっただけ上等ね!」

「失神……しそうだったけどね……」


ディオのつぶやきは聞こえなかったように、
ダナは前を見すえる。


「あれが軍用艦よ」


見えてきたのは、巨大な船だった。

堂々とした黒い艦。

左右に砲が突き出ている。

航行に風力は使用していないのか、帆はたたまれていた。

ゆっくりとこちらに向かって進んでくる。
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