空をなくしたその先に
「私がいなくなったら、あの二人あっと言う間に犯罪者に転落でしょ。

誰か手綱をしめてやる人間がいないとね。

生まれた時から知り合いだし、今さら投げ出せないわよね」


どことなく愛情に似たもののこもった口調で、ミーナは言った。


「正確にはもう犯罪者だけど」

「ダナ!」


ダナはすましてスープをすすっているが、

ディオは背中を冷たいものが流れ落ちるのを感じないではいられない。

先ほどのボウルの威力からして、

ミーナとダナが取っ組み合うことになったとしたら、血の海を見ることになりそうだ。


「そうね。

二人を警察に突き出さないでくれて本当によかったわ。

ありがとう」

「いえ、こちらも助けてもらったので」


今度はダナに口をはさませる隙を与えず、ディオは答える。


「そうそう、駆け落ちなんですって?

そういうのってすっごくロマンティックよねえ」


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