空をなくしたその先に
部屋に入ったとたん、ダナは歓声をあげて、

シャワーに飛び込んでいったため気がついていないようだ。

ベッドが一つしかないということに。

昨夜使わせてもらったニースの部屋と違い、複数人で泊まることが前提の部屋だ。

置かれているのも少し狭いのを我慢すれば、

親子三人くらいは寝られそうなサイズのベッドだが、

枕が二つ並んでいるのはなんとも微妙な気分にさせられる。

三等客室にしないでよかったと、ディオは心の底から安堵した。

三等客室ともなれば、十人近くが一つの部屋に押し込められ、床に敷いたマットレスの上で就寝する、と聞いている。

そんなところでも、ダナは平気で寝られそうだが、ディオ自身は耐えられないだろう、多分。

風の具合にもよるが、マーシャルまでは五日ほどで着くはずだ。

その間、海賊の襲撃がないことを祈るしかない。

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