空をなくしたその先に
ディオがうとうととしかけた時だった。

ばたりと洗面所のドアがあく。
よろよろと出てきたダナは、ふらふらしながら部屋をつっきってくる。

ディオの横になっているソファまで何とか到達すると、

そのまま床の上に座り込んでしまった。

濡れたままの髪から、ぼたぼたと滴が落ちる。


「どうかした?」


あわててディオが飛び起きると、ソファに顔をつっこんでダナはうめいた。


「……気持ち悪い……」

「気持ち悪いって……まさか船酔い?」


たずねるディオに、息も絶え絶えといった様子でダナは返す。


「あたし……こっちの……船……は……じめて」

「嘘だろ?」


あれだけ空を飛び回っておいて、船酔いするとは。

ディオは頭をふった。

ソファによりかかってぐったりしているダナを助け起こして、ベッドまで移動させる。

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