空をなくしたその先に
見た目は、茶色くて薄いただの封筒だ。

内容もひどく簡略化して書かれているから、

この封筒を手に入れても中身が理解できるのはフォースダイト研究従事者だけだろう。

こんなことになっていなかったら。

研究室にこもって一日中研究に没頭して。

早く解放された日には仲間たちと、街へ出かけていって酒場で騒いで。

うっかり酒場の女の子といい感じになってしまった仲間を
置いて先に帰宅。

門限破りをした仲間のためにこっそり窓から入れてやる、

なんてそんな日々を送っていたはずだ。

自分がいい感じになるだけの甲斐性は、残念ながらディオは持ち合わせていない。

それでも、皆で過ごす時間は嫌いではなかった。

どうせ国へ戻るまでの留学期間中だけ許された自由だ。

だから誘われれば、いつでも喜んで一緒に行った。

今置かれている状況からすれば、信じられないほど平和な時間だった。

< 195 / 564 >

この作品をシェア

pagetop