空をなくしたその先に
本当にこれでよかったのかと、ディオの胸に疑問が浮かぶ。

自分が今抱えているこれは、

下手をすれば空の勢力図を根底から揺らがせることになってしまう。

とけない疑問があれば、手を出してしまうのが研究者というものなのかもしれない。

まだ、今の科学力では手を出してはいけない領域に踏み込んでしまったのではないかと初めて思う。

ディオはため息をついて、封筒を戻した。

いずれにしても、もう手を出してしまったのだから今さら戻ることなどできない。

まずは国へ戻る方が先決問題だ。

どこへも行かないと約束してしまったから、部屋から出ることさえできない。

クローゼットを開けてみる。

中にラジオが備え付けられていた。

過去に何度か盗まれたことがあるのだろうか。

何重にも鎖が巻かれ、厳重にクローゼットに固定されている。
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