空をなくしたその先に
ベッドに背を預け、床の上に座り込んで膝を抱える。

マーシャルから陸路を使っても、王都まではさらに一週間ほどかかる。

その間に襲われたら……。

いや、この船の中にだってもう敵は潜んでいるのかもしれない。

いざという時が来たら。
自分は守り通せるのだろうか。

ここに至るまで、ずっと守られっぱなしで何もできなかった。
非力だ。

抱えた膝に顔を埋める。

そのままディオは動かなくなった。

部屋の中は、静かな音楽だけが流れている。


「ねえ、ディオ、起きてる?」

「ん……起きてる」


すっかり顔色のよくなったダナに肩を揺すられて顔を上げれば、数時間が経過していた。


「寝るならベッドで寝ればよかったのに」

「そう言うけど。僕も男だよ?変な気起こしたらどうする?」


立ち上がって、体を伸ばしながらディオは言った。

あちこちの関節がぽきぽきと鳴る。


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