空をなくしたその先に
「あたし相手に?冗談でしょ?」


ベッドに腰掛けて、ブーツに足をつっこみながらダナはけらけらと笑う。

いかにも対象外だというかのように。


「でもそうね……。

そんなことになったら、容赦なくひっぱたいて、

あっちの壁まで投げ飛ばすけどどうする?」


ソファが置かれている方の壁をしめしながら、ダナは首をかしげてみせた。


「……遠慮しとくよ」


反対側の壁まで投げ飛ばされるかどうかは別として。

容赦なくひっぱたかれるのは間違いがない。

空腹を訴えるダナを連れて部屋を出る。

客室は階層ごとに区切られている。

一番下の階が三等客室。

ディオたちがいるのは、そのすぐ上で、一番上は一等客室と特別客室の客だけが出入りを許される階だ。

食堂も各階層ごとに用意されている。

航海の間は、二十四時間使うことができるが、供される食事は階によってがらりと変わる。

二等客室以下の乗客は、自分たちで食事を席まで運ばねばならないが、

一等客室以上の乗客になると給仕が配膳までしてくれるという違いもある。

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