空をなくしたその先に
「ディオ、ディオじゃないか。元気だったか?」


声をかけられて二人は足をとめた。

ディオに声をかけてきた青年の両腕には、若い女性がぶら下るようにしている。

警戒するように、ダナはディオの腕をつかんだ。

ディオの方はというと、


「フレディ!」


思いがけない再会に、ダナの手をふりはらっていた。

「伯父上、倒れたんだろ?お前こんなところで何しているんだよ」

「まあ、いろいろとあってね」

「あれもいろいろの一つか?」


フレディと呼ばれた青年は、腕にぶら下っている女性たちを押しやって自由の身になると、ディオに近づいてきた。

警戒するかのように右手を腰にあてて彼をにらみつけているダナを視線でしめす。

二十代半ば、小柄なディオよりはやや背が高く中肉中背という表現がぴたりとはまる。

ディオと同じ色の日に焼けた藁の色をした髪は、かなり長めで、首の後ろで一つに束ねていた。

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