空をなくしたその先に
「ねえ、その研究って完成したら島だって落とせるってことでしょう?

そんなことになったら、あたしたちどこで生きていけばいいのよ?」


だんっ、とテーブルが鳴った。
勢いよくテーブルの上に両手をついて、ダナは立ち上がる。

つかつかとディオの方に近づいてくると、

封筒を握りしめたままの手を持ち上げた。


「こんな研究、なんでしようと思ったのよ?」


ディオの前に膝をついて、指一本一本を封筒から引きはがしていく。

どんな表情をしているのか、頭の陰に隠れてディオには知ることができなかった。

ダナは、ぐしゃぐしゃになった封筒の皺を丁寧に延ばしてから、

もう一度ディオの手の上にのせた。


「ディオ……あんた何者なの?
一介の大学生が、こんな物騒なもの持ち歩けるはずがない。

本当は重要人物なんじゃないの?」

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