空をなくしたその先に
「列車も個室の客なら、それなりに車掌も警備に気を使うだろ」

「……考えておくよ」


そう返答したものの、ダナは反対するだろう。

どういうわけか、フレディにはやたらと警戒心を持っているのだから。

フレディと別れて、船内へとおりた。

ダナは相変わらず一言も発することなく、ただディオの後をついてきていた。

またあの沈黙に押しつぶされそうな時間を過ごさねばならないのかと思うとうんざりするが、船を降りるまでは耐えなければ。

部屋のドアに鍵を差し込む。

違和感を覚えて、ディオは首をかしげた。

部屋を出る前に確かに鍵をかけたはずだ。

それなのに今鍵を回した時、再度鍵がかかった音がした。

がちゃがちゃと何度か回してようやくドアを開けることに成功する。

部屋の中に足を踏み入れて、ディオは驚きの声をあげた。

後から入ってきたダナがわめく。
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