空をなくしたその先に
案内された特別客室は、一人で使うにはやたらと広い部屋だった。

中央に居間があり、その左右に四つの寝室が配置されている。
居間だけで数十人を収容してもまだ余裕がありそうだった。

左側奥の寝室はフレディが使用しているという話だったので、ディオは右手前の寝室に入った。

ここも広い。

部屋の中央におかれたベッドは、三、四人で寝ても問題なさそうな広さだし、

枕やクッションも見るからに柔らかそうだ。

ソファにテーブル、どの家具も前の部屋にあったのとは比べ物にならないほど高価な品だ。

壁には絵がかけられ、棚には高級酒の瓶が並んでいる。

何より窓が広かった。

沈んでいく夕陽に海が赤く染まっているのがよく見える。


「あの人、ここ一人で使っていたわけ?

ものすごい空間の無駄よね」


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