空をなくしたその先に
当然のような顔をして続いて入ってきたダナは、
手を乗せてベッドの柔らかさを確認している。

「贅沢なんだよね、フレディって。

いつも最高級の物しか使わないんだ」


服をクローゼットにかけようと、スーツケースの蓋を開いて気がつく。

ダナも自分のスーツケースを開きはじめていることに。


「あっちの寝室使えば?」

「い・や・よ!あたしもここで寝る!」

「何で?」


昨夜からの壁がいつの間にか崩れていることに安堵しながら、ディオはたずねた。

「身の危険を感じるのよ!」


スーツケースの中をひっかき回し、手当たり次第に物を取り出しながら、ダナは答える。

その合間に手を振り回しているのは何を主張しているのか。


「夜中に目が覚めたら

あの人が上に乗ってたなんてことになったら、

洒落にならないでしょ?」

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