空をなくしたその先に
「無駄に贅沢な作りよね」


昨日は素通りした部屋の設備を確認しながら、
ダナは何ともいいがたい表情を浮かべていた。

昨日まで使っていた部屋は、

クローゼットの中にラジオが置かれているだけだったが、
この部屋は違う。

ラジオもあれば、レコードのプレイヤーもある。

もちろん鎖で厳重に固定されているなどということもない。

レコードも少なく見積もって数百枚が棚に納められていて、

どんな嗜好の人間でも一枚くらいは聴きたい音楽が見つかりそうだった。

本棚には読まれた形跡のない本がぎっしりと並べられていて、
テーブルの側にはトランプをふくめ、

様々なゲームが用意されている。

時間をつぶす娯楽は十分用意されている。

「ディオも国にいる時はあんななの?」

「うーん、どうかな。僕夜会とかって苦手なんだよね。

もちろん必要最低限は出席するけれど」
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