空をなくしたその先に
たとえば国賓を歓待するためとか、高齢の父親に変わっての代理出席とか。

学生としてだけでなく、ディオにはやらなければいけないことがある。

「どうして?

夜会って楽しいって聞くけど?
ビクトール様は招待されれば、喜んで出かけているわよ」

「ビクトールは女性にもてるからね。

何人にも囲まれてきゃーきゃー言われてるの、見たことあるよ」

「ディオは?」


こういう風に話ができるのは、昨日までの沈黙に比べたら喜ぶべきことなのだろう。

国での生活にあまり触れて欲しくはないけれど。

「僕の周りの女の人は、やたらに背が高いんだよね。

ヒールのついた靴をはかれると、たいてい僕より目線が上になるんだ。

その状況でダンスをするっていうのもなかなか大変だよ。

だから出席するのは必要最低限」
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