空をなくしたその先に
「まだ伸びるわよ、
とは言ってあげられないわね。もういい大人なんだから」

「ほっといて」


背が低いのも童顔なのもコンプレックスなのだから、
そこをつつかないで欲しい。

寝ていた格好のまま居間に連行されたディオが、

一度寝室に引っ込んで戻ってくると、
ダナはソファの上に寝そべっていた。


「ねえ、本当に皆こんなのを着ているの?」


ソファの上で腹ばいになって眺めているのは、最新のファッション雑誌。

膝を折り曲げているので、踵が宙でぷらぷらと揺れている。

頭の方に回って眺めてみれば、夜会に出かける時着る服の特集だった。

女性服のわずかな流行の違いなどディオにはわかりようもないが、

あちこちの夜会で見かけた服装とたいして変わりがないように思える。

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