空をなくしたその先に
複雑な形に結い上げた髪、

上半身はかなり深く胸元を切り込んで、
対照的に下半身はスカートをふくらませる。

これでもかと肌を露出して、
首や腕だけでなく、

髪にも耳にもきらきらとした宝石を飾ってポーズを取るモデルたちの写真。

ディオが肯定すると、ダナは羨ましそうにため息をはいた。


「こういうのってお姫様だけが着るのかと思ってた」

「着てみたい?」

「ちょっとね」


照れくさそうに舌をのぞかせると、ダナはページをめくった。

着せてあげるよ、と言いかけた口をディオは閉じた。

国に帰ればダナをディオ主催の夜会に招待して、
服の一着や二着用意するのは不可能なことではない。

ディオにだってそのくらいの力はある。

けれど。

身分のことを口にするのははばかられた。

あえてダナが触れようとしないのだから、ディオから蒸し返すことはない。

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