空をなくしたその先に
文句をつけていたフレディも、あきらめたのかあきれたのか。
自分の一夜の恋の方が大切になったようで、

残りの夜は今夜同様、

二人のいる特別客室に戻ってくることはなかった。

フレディとの同行を、ダナは嫌々ながら受け入れた。

何かあった時には、ディオだけを守るという条件付きで。

フレディもそれを了承したのではあるが、

何かとダナにちょっかいを出しては、反撃を食らっていた。

その反撃自体も楽しんでいたのではないかと、ディオは疑っている。

最後の夜も無事に乗り越えた翌朝。

入港と同時に、三人はファイネルをともなって上陸した。

入港審査がいたって簡単だったのは、フレディの肩書きが物を言ったのだろう。

フレドリク・カイトファーデン様とその友人という扱いだ。

いまだにディオたちは偽名の旅券を使用している。

旅券そのものは正規のものであるが、

それで審査が手抜きになるのならば、同行したのは正解だったのかもしれない。
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