空をなくしたその先に
フレディはおびただしい量の荷物をファイネルに持たせ、

自分は必要最低限を詰め込んだ小さな鞄一つだった。

ディオとダナはそれぞれ自分の荷物は自分で持っている。

あらかじめ命じておいた自動車が、三人を迎えに港までやってきた。

自動車に乗れるのは、運転手をのぞいて三人まで。ファイネルは、歩いて宿まで移動するのだという。

大半が衣装のフレディの荷物を、ファイネルが車のトランクに積み込んでいる。


「王族専用車とかないの?」


荷物の積み込みを手伝いながら、ダナがつぶやいた。


「俺、王族じゃないし」


と、こちらは手伝う気などさらさらなく見守るだけのフレディ。


「カイトファーデン家は、有力貴族ではあるけど王族としての扱いは受けないんだ。

男子だけが王族としての地位を受け継ぐことができるんだよ」


とディオが説明を追加する。

こちらもただ突っ立っているだけだ。

役に立たないことこの上ない。
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