空をなくしたその先に
「あそこだ!あそこから撃ってきたんだ!」


誰かが少し離れたところにある背の高い建物をさした。

窓辺にいた人影が、身を翻して消える。


「誰か警察と救急を!」


その声に、フレディは静かに返した。


「救急はいらん。もう死んでいる」


ダナが手を貸して、ディオを立たせた。

脚が震えて、自分一人ではまっすぐに立つことさえできない。
ディオはダナの肩に寄りかかるようにして、
ようやく立ち上がることに成功した。

銃弾は、ファイネルの頭を貫通したらしい。

倒れたファイネルの頭の下に、血が池を作っていた。

驚いたように目は見開かれたままで、

手にしていたフレディのトランクは、数メートル離れた場所に投げ出されていた。

目の前で人が死ぬのを見るのは初めてだった。
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